数えきれないほどのお米の一粒々々が
一粒々々のかけがいのないいのちを
ひっさげて
いま この茶碗の中に
わたしのために
怠(なま)けているわたしの胃袋に
目を覚(さ)まさせるために山椒(さんしょう)が
山椒のいのちをひっさげて
わたしのために
梅干しもその横に
わたしのために…
白菜の漬物が
白菜のいのちをひっさげ
万点の味をもって
わたしのために……。
もったいなさすぎる
もったいなさすぎる
出典:東井(とうい)義雄(よしお)[1]「お米のいのち心から拝んでいただく」探究社・法藏館(令和5年8月)28頁—29頁
[1] 1912年、兵庫県豊岡市但東町の真宗寺院に生まれた。1932年に兵庫県姫路師範学校を卒業して40年間、県下の小・中学校に勤務。ぺスタロッチー賞(広島大学)、平和文化賞(神戸新聞)、教育功労賞(文部省)など、数々の教育関係の賞を受賞。篤信の念仏者としても知られている。1991年4月18日に逝去。豊岡市但東町(元町役場に隣接)に東井義雄記念館がある。