寺報「ねがい」
お知らせ
2026.05.01
心のあたたかいやさしい 尊い人がたくさんある
Image

わたしの学校の竹(たけ)箒(ぼうき)部屋の竹箒は、今日で二百日あまり倒れたり、傾けたり、ひっくりかえったりすることなく整列していてくれる。(中略)朝礼のとき、わたしは一メートルばかりの大きな温度計をもって台上に立った。

「けさの温度は何度くらいだろうか」というようなところから温度計に注目させ、毎日寒い日がつづくから、温度が低いことを話し、

「でもね、みんなの中には、誰かしらんけど、温度計のてっぺんまで赤い棒が伸びるほど、心のあたたかい子がいるらしいんだよ。校長先生は毎晩、学校を見廻りに学校にやってくるんだけど、どんな夜半でも、竹箒がきちんと行儀よく並んでいるの。」(中略)「誰かしらんけど、とっても心のあたたかい人がいてくれることが、先生はうれしくてならないんです。みんな、人を困らせたり、物をいじめたりなんかしない、心のあたたかい子になってくださいね。」(中略)

それから、少し日が経って、四年生の男の子が箒をまもるためにがんばってくれていることがわかってきた。

出典:東井(とうい)義雄(よしお)「こころの味を大切に」探究社・法藏館(令和7年8月)13頁—14頁